2.県民の願いを実現する福島へ

(1)原発に依存しない福島へ

 6月に東京電力社長が福島県知事に対し福島第二原発の廃炉検討方針を表明しました。まさに県民みんなの願い、オール福島の願いの実現へ大きな一歩となりました。

 福島第二原発の廃炉の声は、2011年9月県議会において、新婦人県本部が提出した「福島県内すべての原発の廃炉を求める請願」が採択されたことを皮切りに、県内59市町村すべての議会決議、県知事はじめ首長も廃炉を求めるに至りました。まさにオール福島の運動が政府と東京電力を追い詰めたのです。

 福島第一原発事故の完全収束、徹底した除染、原発事故被害の完全賠償、県内原発全基廃炉はオール福島の一致点でした。これからも県知事を先頭に大きな声を上げていく必要があります。

 一方、安倍政権の原発政策は、県民の願いと真っ向から対立しています。全国の原発を再稼働し、世界に輸出する「再稼働・輸出政策」をすすめるため、東京オリンピック招致活動のなかでは福島原発事故や汚染水問題で「アンダーコントロール」などという大嘘をついています。原発事故からの避難指示解除・早期帰還を年間被ばく推定量20mSv以下で推し進め、避難指示の解除とともに様々な避難者支援の打ち切りを進めています。商工業者への営業損害賠償でも600件の追加賠償に対して、合意したのは1件のみというありさまです。東京電力が不誠実な態度で賠償に臨んでいることに対して、政府も福島県も東電に強く抗議すべきです。

 浪江町住民や飯舘村住民による損害賠償をめぐっては、東電の拒否によってADR(裁判外紛争処理制度)の調停が打ち切りとなりました。福島県知事は個別の紛争についてコメントしないとの立場ですが、これは県土を広範囲にわたって放射性物質による汚染被害をうけた県知事としてあまりに情けない話ではないでしょうか。

 福島県としても、原発事故被害の実相を訴え、中間指針の見直しによる県民の被害回復を強く求めるべきです。

 モニタリングポスト(リアルタイム線量測定システム)の撤去問題、トリチウム汚染水の処理問題についても政府と原子力規制庁による一方的な押しつけにならないよう、県としても県民の声を代表して要望すべきです。

 私たちが考える「原発に依存しない福島」は次のような特徴があります。

・福島県として、原発事故被害の実相をまとめ、世界に発信する取り組みをすすめます。福島第一原発事故の収束・廃炉について、県としての検証を行います。福島第二廃炉について、東電に早期の廃炉計画の提示を求めるとともに、廃炉作業について県としての検証を行います。

・原発ゼロの日本をめざし、福島県からの発信に取り組みます。福島県に隣接する原発、東北電力の原発の再稼働には立地県とも連携して対応します。「原発ゼロ基本法」の制定に賛同します。

・福島県内すべての廃炉を確実にすすめるとともに、政府に対して原発の再稼働を前提としたエネルギー基本計画の見直しを求めます。

・原発事故被害の完全賠償を福島県として強く要請します。住民訴訟やADRでの審議について支援します。原発事故被害の実相と賠償裁判の判決などを参考に中間指針の見直しを求めます。

・県民の健康被害を最小限におさえるため、甲状腺エコ―検査をはじめ可能な検査・健診は引き続き実施します。医療対応が必要な場合には医療費の補償や休業補償を実施します。メンタル面での県民サポートを充実させます。

・モニタリングポスト(リアルタイム線量測定システム)の一方的な撤去に反対し、住民の要望に応じて機器の更新も含めて国に要請します。

・トリチウム汚染水の処理問題について、地元漁協をはじめ県民との合意を重視し協議を進めます。

・避難指示解除に伴う帰還や避難指示区域外からの避難について、県民みずからの希望と長期的な帰還を選択肢にいれた支援を行います。復興公営住宅の家賃については当面2020年まで継続し軽減します。

・県外資本による大型再生エネルギーづくりではなく、地元資本による地域循環型経済につながる再生エネルギーとするため、県条例を検討します。

(2)青年が希望をもてる福島へ

 私たちが呼びかける復興の転換を進める上で、特に強調したい点があります。それは「青年が希望をもてる復興」です。

 福島県の人口は、震災・原発事故のあとに急速に減少しています。避難だけでなく、少子高齢化の影響もあるといわれていますが、もう一つ大きなポイントがあります。それは18歳から20歳代前半までの時期に、毎年5千人以上の青年が県外へ出ているのです。

 私たちは、福島に多くの青年が定着し、一緒に福島を盛り上げていくよう支えていきたいと考えています。

 私たちが考える「青年が希望をもてる福島」は次のような特徴があります。

・高等教育機関(大学・専門学校)の増設・定員拡大をすすめます。研究内容を充実させ、質の向上をすすめます。

・県立大学をはじめ学費の無料化を実現します。

・県が主体となる給付型奨学金を拡充します。

・県外に進学した青年のUターンや、県内学校進学者の県内定着を支援します。

・一人暮らし青年のアパート代や水光熱費などの助成制度を拡充します。改正住宅セーフティネット法にもとづく民間賃貸住宅等の登録事業を推進します。

 青年が安心して生活していくためにも、「8時間働けば普通に暮らせる社会」の実現は急務です。国に対し、社会保険料負担軽減など中小企業支援策と一体に、最低賃金を全国一律でただちに時間額1000円とし、1500円をめざすことを求めます。あわせて国に対して長時間労働、不安定雇用等の解消、是正のために、労働基準法等を抜本的に改正することを求めます。ぜひいっしょに行動し、実現をめざしましょう。

(3)地域経済活性化へ、中小企業・小規模事業者、農林水産業、観光業をささえる福島へ

 復興には県民の働く場が必要であることはいうまでもありません。

 私たちは、大企業の役割やそこへの支援を一律には否定しません。しかし、今の福島県の状況を見たときに、最優先すべきは巨額の税金を大企業しか参入できない事業につぎ込むことではなく、現にいま大変な分野に手をさしのべるとともに、地域や地元の業者が参入しやすく、可能性の広がりがある分野に投資することです。大規模開発ではない身近な再生可能エネルギー分野、農林水産業と観光業や多くの県民が働いている中小企業・小規模事業者の復興に力をいれていきます。

 私たちが考える「地域経済活性化へ、中小企業・小規模事業者、農林水産業、観光業をささえる福島」は次のような特徴があります。

・本県農業を支えている家族農業や小規模農家を支援する農政に力を入れていきます

・安心して再生産できる農業をつくるため、農産物の価格保障、所得補償を抜本的に強化するよう国に求めます。今期からなくなる所得補償に県として対応します。

・米の生産調整が廃止となり、補助金もなくなることから、主食である米の安定生産が確保されるよう新たな支援制度を創設します

・環境保全型農業を推進し、県内農産物の学校給食利用を進めます。

・漁業の本格操業に向け、後継者の育成、検査体制の継続・強化を図ります

・原発事故により避難し、事業を再開する中小商工業者に対し、再開のための支援制度を周知徹底するとともに、再開する場所にかかわらず同じ支援を行うよう充実を図ります

・小規模事業者の活性化に向け、県として、国が実施している「小規模事業者持続化補助金」と同様の制度を創設します

・地域経済の活性化に向け、県として、公共機関や住宅のリフォームや商店リニューアルに対する助成金制度を創設します

・再生可能エネルギーの推進にあたっては、県民参加型のしくみを構築し、県内中小企業の仕事、雇用の拡大に結び付くよう支援します。

・観光業の復興のため、福島県内でイベント・会議等の利用に対する補助制度を再開します。県民が県内に旅行しやすくなる補助制度を実施します。観光分野での原発事故賠償を支援します。

・公共機関の使用電力を再生可能エネルギーの比率の高い電力会社から入札で購入します。

・地球温暖化防止対策に逆行する石炭火力発電所新増設容認、IGCC(石炭ガス化複合発電)推進の県の立場を転換します

・地域経済を活性化させ、地方からの人口流出に歯止めをかけるため、社会保険料負担軽減など中小企業支援策と一体に、最低賃金を全国一律でただちに時間額1000円とし、1500円をめざすことを国に求めます。

・地方からの人口流出、地域経済に悪影響を及ぼす、公務員の「地域手当」の廃止を国に求めます

・県が発注する事業に従事する労働者に対し、ただちに時間額1000円以上を支給する「公契約条例」を制定します。そして同様の条例の制定を県内の市町村にもよびかけます。

(4)子育て日本一の福島へ  

 ふくしま復興共同センター子どもチームと新婦人県本部が行った調査では、授業に使うビーカー、陸上運動用ハードルなどの備品代や、施設の修繕費、職員の人件費などがPTA会費から捻出されている実態があきらかとなりました。

 福島県の教育予算そのものが足りないのです。教育予算の不足分がPTA会費を通じて保護者負担になっています。このことは教育費のあり方として大きな問題です。

 今年6月に発生した大阪の地震では、学校の壁が倒壊して尊い命が犠牲となりました。こうした施設の維持・管理には、県立学校だけでもおよそ60億円の予算が必要とされていますが、今年度の施設管理などの予算は6億円にすぎません。

 ほかにも、県立高校のエアコンの設置、維持管理費はPTAが負担をしています。これも県が負担すれば約4億円で県立の97校すべての教室に設置し維持することができます。県民運動の成果もあって小中学校でのエアコン設置が進んできましたが、それでもまだ3分の1の小中学校が残されています。県として小中学校へのエアコン設置も支援します。

小中学校の学校給食の無料化は、約80億円の県予算があれば実施できます。現在、県内59市町村のうち半数の29市町村が、全額または一部補助を実施しており、子育て支援の観点から県が市町村を支援すべきです。

  私たちが考える「子育て日本一の福島」は次のような特徴があります。

・18歳以下の医療費無料化を継続します。

・小児科の予防接種の費用について、原則として無料化してくこととします。

・県内の産科医・小児科医を増やし、産婦人科・小児科の医療機関を増やします。

・公立学校の30人以下学級を小中すべての学年で実施します。

・県立学校はもとより、市町村の教育予算や施設維持管理のための予算、老朽施設の改修、耐震化など学校施設への必要な課題を早急にやり上げる予算を実現するために、財政的に支援します。子どもの減少による一方的な学校の統廃合は推進せず、地域づくりの観点も踏まえて対応します。

・教職員の長時間過密労働を解消するための行動計画を実効性あるものに見直し、増員もふくめた対応を行います。

・美味しくて栄養ある学校給食を充実させるとともに、市町村を支援し全県での無料化を実現します。

 また、児童虐待についても福島県は児童虐待増加率が全国一という不名誉な状況です。直ちに児童福祉司の増員をはじめ児童虐待が起きないよう対応します。

 子どもの貧困・格差の拡大に対しても、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの増員・正規職員化をはじめとする対策を強化します。子どもの自殺が増えているとの指摘もあり、メンタル面でのサポートについて対応を強化します。

 保育や学童保育(放課後児童クラブ)においても、待機児童ゼロの実現をはじめ、保育士や学童指導員の配置基準の改善とそのための予算措置、保育士の処遇改善、加配に対する県補助金の拡充を行います。

(5)全国に誇れる健康長寿の福島へ

 今年になってから、介護保険をめぐって大きなニュースが駆け巡りました。

 一つは、全国で介護保険料が高い市町村のトップ10に、県内から7町村もはいっていることです。田畑の仕事が奪われるとともに大家族から核家族にならざるを得なかったことにより介護保険の需要が高くなっていることが大きな要因ですが、避難指示地域での医療費・介護費が増えていることからも、原発事故の被害でもあります。

 もう一つは、2025年の介護職員の充足率が全国最低というニュースです。こちらも介護保険の需要が高まると同時に、介護職員確保について大きな改善が見込まれないことによります。

 なによりも、介護職員になろうという人が増えません。賃金など処遇改善とともに、施設での職員定数を増やしていくなど、介護労働そのものの抜本的改善が必要です。

 特別養護老人ホームなどの施設の職員配置基準は都道府県条例で定めることとなっています。しかし、多くの施設では県条例水準よりも多くの職員が配置されており、実情も配慮した基準の引き上げが必要です。同時に、こうした加配に対する公的な支援を拡充していくことが求められています。

 福島県では特養待機者が1万名以上となっています。認知症対応の施設も不足しています。介護施設・在宅サービスともに拡充していくことが必要です。支援を必要としている高齢者に、適切なサービスが提供できるよう県計画の充実を図ります。そしてこれは、介護離職ゼロを実現する方策でもあります。

 私たちが考える「全国に誇れる健康長寿の福島」は次のような特徴があります。

・高齢者が安心して暮らせるために、高齢者施設・在宅サービスとも拡充を図ります。特に認知症対応の施設・サービスはまだまだ必要です。

・高齢者施設での職員配置基準を拡充するとともに、全国基準を超えた配置に対しては県としての補助を実施します。

・市町村が主体となる総合事業について、県も関わりをもちつつ全県で介護予防活動を強化していきます。

・介護保険に対する国庫負担を増やすことを国に求めます。

・介護職員の処遇改善をすすめます。

・特定健診無料化・各種がん検診の無料化をすすめ、健診受診率の向上と健康増進活動を推進します。

・県民の健康づくり活動や介護予防活動に対するアプローチなど、県内の事業所や医療団体などとも協力した健康増進活動を行います。

・地域医療構想・地域医療計画にもとづく県内医療機関の機能再編については、関係者とも協議してすすめ、県内の医療機能が低下しないように進めます。

・医師・看護師等の医療関係者の県内定着・増員を図ります。

・県内の救急体制を強化します。